携帯電話フィルタリングに想定外の異常事態自民党サイト有害サイトに指定!!

青少年保護を目的にした携帯電話のフィルタリングサービスだが、健全なサイトにまでもアクセスできなくなるケースが頻発している。

今度は政府与党・自民党の携帯サイトや自治体の災害・防災情報サイトが見られないというから穏やかでない。

「J-CASTニュース」によると、 埼玉県が設置しているサイト「危機管理・災害情報」が見られないといった問い合わせが県庁に寄せられ始めたのは08年1月ごろから。同サイトでは、防災対策などの情報を書き込むブログの形を取っており、フィルタリングで「有害サイト」に分類され、アクセス不能になったからだ。

県は緊急情報を発信するケースも想定して同サイトを開設しているため、システムを提供している楽天に改善を要望したが、フィルタリングを設定しているのは携帯電話各社であるため、解決策は見えていない。埼玉県庁広報課は「解決は難しい。想定外の事態だった」と話している。

皮肉なことに、このフィルタリングサービス促進の動きは、政府与党である自民党の携帯電話向けサイトを一部の未成年者が閲覧できない事態をも生んでいる。

こうした「弊害」は携帯電話向けのコンテンツを提供している企業にも大きな影響を与えている。

10代のユーザーに圧倒的な人気を誇っているゲーム・SNSサイト「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の株価は、総務省の要請を受けて急落。「モバゲータウン」へのアクセスが制限され、業績が悪化するのではないかという懸念が、同社に大きな打撃を与えた。

現行のフィルタリング制度は、携帯電話事業者によって「有害サイト」の分類は異なるものの、SNSや掲示板サイトは双方向のコミュニケーションがあるとして、総じて「有害サイト」としてアクセス制限の対象になっている。政治団体などもこうした規制の対象になっているため、自民党サイトへのアクセスも「有害サイト」として制限されるというわけだ。

NTTドコモは、こうした一律的な規制に対して利用者が制限範囲を決める方式を検討し始めたが、「やり方などは、まだまだ(検討が)始まったばかりなので分かりかねる」(広報部)という。

あまりにも一律的なアクセス規制に対し、業界団体のモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は第三者機関を2008年3月末までに設立し、健全な携帯電話サイトを認定する基準を策定し、携帯電話会社に受け入れを働きかける予定だ。

MCFの岸原孝昌事務局長はJ-CASTニュースに対し、「現行のフィルタリングは0か100しかない。総務省は青少年保護のためにフィルタリング強化を要請したというが、まずフィルタリングありきでは、青少年のリテラシーが教育されず、結果的に青少年保護になっていない」と指摘。

SNSやブログサービスなどで、健全な携帯電話サイトを認定するとともに、未成年者に対してIT教育を義務化するなどしてリテラシーを高めることが必要だ、と説明している。

健全な携帯電話サイトとを不健全なサイトをどう判定するのか、また誰が判定するのか、携帯電話サイトのことを子どもたちより知らない先生が、その危険性や対処法を子どもたちに教えることができるのか、といった課題もあり、この問題はまだまだ長引きそうだ。(松野)


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