「バンビ〜ノ」ストーリー完全版

ホール担当になって2週間が経過しても、ひとり緊張がとれない伴は、グラスや皿を割るなどのミスを連発し、支配人の美幸から釘を刺される。伴がホールになってから、割った備品が多く経費がかかりすぎていると言うのだ。「仕事が出来る人にあなたは食べさせてもらってる」とまで言われた伴はひどく落ち込む。与那嶺に相談しても「接客は愛だ」と言うばかりで、伴にはその意味が全く分からない。

そんな伴を見かねたあすかと妹尾は、伴はとにかく自信が足りないと指摘。技術が身につけば必ず自信になるをモットーに、閉店後の店であすかの指導のもと伴はひたすらホールの特訓を続ける。自宅に帰ってからも苦手だったパスタの取り分けを練習し続けた伴は徐々に自信をつけはじめた。

ある日、厳しい常連客・野上がまた来店した。今度こそ前回の接客を挽回したい伴は、与那嶺に担当を任せて欲しいと頼み込む。自信をつけた伴は堂々と接客、苦手だったパスタの取り分けも失敗することなくお皿に盛る事ができた。技術的には何の問題も無い、しかし野上は再び伴の担当を外して欲しいと与那嶺に伝える。伴はまるでロボットのようだと指摘、料理がまずそうに見えると言われた伴の心はズタズタに引き裂かれた。

バッカナーレの料理に惚れ込んで料理人を目指した伴、そんな素敵な料理をまずそうと思わせてしまった自分が情けなくて仕方が無い。特訓につき合わせてしまったあすかや妹尾に対しても、ただ頭を下げるしかできないほど、自責の念にかられていた。

しばらくして、また野上が来店する。自分の接客に自信がもてない伴は他のホール担当を探すが、あいにくみんな忙しい。仕方なく野上の接客を担当する伴、おすすめの料理を聞かれて様々なパスタを提案するのだが野上は注文しようとはしない。どうしてもバッカナーレの美味しさを伝えたい伴は、かつて自分が練習したパスタの作り方を細かく細かく野上に伝え始めた。懸命に説明する伴の姿に野上も折れたのだろうか、「美味しそうね」という一言とともに伴のすすめたパスタを注文してくれたのだ。

閉店後、1人ガッツポーズを作る伴。天敵のようだった野上に初めて認められてもらった気がして有頂天になっていた。そこへ与那嶺が現れ、厳しい一言を伴にぶつける。「君の接客は、お客様の為じゃなく自分の為だ。それは愛じゃないだろう?」と。

伴は野上に対して行った接客が自分のエゴをぶつけていただけだったのかもしれないと気づく、しかし他に一体何をすべきか、自分には何が足りないのかさっぱり分からない。与那嶺の言う「愛」とは一体なんなのだ?喜びもつかの間、伴は再び大きな壁にぶち当たってしまったのだ。


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